すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


山辺の御井(三重県鈴鹿市)





有名なこの万葉歌

山辺の 御井を見がてり 神風の 伊勢処女ども 相見つるかも 長田王(万葉集)
(私訳)山辺の御井を見に来たら、伊勢出身の乙女に出会ったよ。  


最初にこの歌を見たとき、「神風」の文字から「特攻隊」を連想し、恐ろしげな内容を想像したが、よくよく読むと、神風は伊勢の枕詞で、旅先でかわいい子に逢った喜びを素直に表現した歌であった。


そんな「山辺の御井」であるが、三重県と奈良県に複数の候補地があって、しかもそれぞれに確かな裏付けもあるようだ。
まあ、なんといっても「山辺の御井」は「山の近所の尊い井戸」という意味で、一般名詞のようなもの。
伊勢への街道沿いの、山に近いの集落ならどこでも候補地になれる。


そんなこんなで、今回は三重県鈴鹿市の大井神社近辺の「山辺の御井」を訪れた。



ここまで来たら、すぐに分かるだろうと思っていたが、山辺の御井に関するものは何もなかった。案内板もなく、間違えたかなと思った。

スマホで他人のホームページをいろいろ見てみたところ、やはり同じように山辺の御井の場所が分からないという苦労話が出ていた。
探しまくった挙句に、ようやく石碑にたどり着いた云々の記述が多く、結局のところ、どこにあるのか明確な答えはなかった。

このため、とりあえず探してみようと思い、周辺地をぶらぶら歩いたところ、いきなり民家の庭先に石碑を発見!



庭先というよりも玄関先に石碑が立ってきた。


これに大満足して帰ってきたが、また他人のホームページを読むと、石碑の左側に井戸があり、それが数千年の星霜に耐えてきた「山辺の御井」だという。(この写真の左で切れている構造物が井戸らしい)



下記の地図のマークの場所が「山辺の御井」、石碑有り

34.89789 136.56326








いろいろあったけど満足した訪問でした








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