すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


山の井(京都市東山区)




「山の井」とは、

東山のまさに中腹あたりに霊鷲山正法寺という古刹があり、その境内に「山の井」という井戸があって、その井戸は平安時代から歌人たちによく詠まれてきたもの!

う〜ん、なんというか、そうは言っても

地図で見てみると、等高線の幅が狭く、しんどそうな感じで、あまり行く気がしなかったが、源俊頼や赤染衛門、菅原孝標女(更級日記の作者)など有名どころが歌を詠んでいるので、取り敢えず行ってみた。


ところが、苦労して行ったにもかかわらず、正法寺は閉まっていた。閉まっていたというよりも、長い間、門を閉じて営業(?)していない雰囲気であった。




【正法寺】


帰ってからインターネットで調べてみると、改修工事を予定しているため拝観はできなくなっているらしい。



何が書いているのか分からなくなった駒札



山号は「霊山(りょうぜん)」または「霊鷲山」



山門からの眺め。
ちょっと木々が生い茂りすぎ。
都名所図会はここからの眺望を、「当山の坊舎はみなみな絶景なり。洛陽の万戸、鴨川・大井川の二流、愛宕・あらしの峰々、淀・山崎の通船まで、書院より居乍らにして眼の下を遮る。」と表現している。



下って行くときはとても楽。



いやはやこれは大変だった。



下から上を眺める。次回は車で行こう。。











「山の井」は正法寺の境内にある井戸であるが、
こんな急な山の中腹に、よく井戸が湧いたものである。



都名所図会「霊山正法寺」 (国際日本文化研究センター)

赤い円で囲ったところが「山の井」





更級日記にも登場

作者は「山の井」まで上ってきて大変苦しかったので、手で水をすくって飲んでいると、「この水は飽きることがないほど美味しいですね」という人がいたので、

奥山の石間(いしま)の水をむすびあげてあかぬものとは今のみや知る 菅原孝標女

この歌の意味は、「飽きないほど水が美味しいって、まさか今知ったのですか???」 〜古い歌にも詠まれてますよ〜

そしたら、水を飲んでいた人が、

山の井のしづくににごる水よりもこはなほあかぬ心地こそすれ 水のむ人

「古い歌の方の、山の井の雫の濁った水より、こちらの方が飽きません」って返してきた。

う〜ん、「山の井」が登場するが、「山の井」は古い歌の方とされている。
何が何だか分からなくなってくる。

ちなみに古い歌はコレ

むすぶ手のしづくににごる山の井のあかでも人に別れぬるかな 紀貫之(古今和歌集)






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「俊頼髄脳」より、応答歌

山の井のふた木のさくらさきにけり 源俊頼
みきとかたらんこぬ人のため 赤染衛門













このページを読み返してみましたが、なんだかよく分かりません






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