すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
山の井(京都市東山区)
「山の井」とは、 東山のまさに中腹あたりに霊鷲山正法寺という古刹があり、その境内に「山の井」という井戸があって、その井戸は平安時代から歌人たちによく詠まれてきたもの! う〜ん、なんというか、そうは言っても 地図で見てみると、等高線の幅が狭く、しんどそうな感じで、あまり行く気がしなかったが、源俊頼や赤染衛門、菅原孝標女(更級日記の作者)など有名どころが歌を詠んでいるので、取り敢えず行ってみた。 ところが、苦労して行ったにもかかわらず、正法寺は閉まっていた。閉まっていたというよりも、長い間、門を閉じて営業(?)していない雰囲気であった。 【正法寺】 ![]() 帰ってからインターネットで調べてみると、改修工事を予定しているため拝観はできなくなっているらしい。 ![]() 何が書いているのか分からなくなった駒札 ![]() 山号は「霊山(りょうぜん)」または「霊鷲山」 ![]() 山門からの眺め。 ちょっと木々が生い茂りすぎ。 都名所図会はここからの眺望を、「当山の坊舎はみなみな絶景なり。洛陽の万戸、鴨川・大井川の二流、愛宕・あらしの峰々、淀・山崎の通船まで、書院より居乍らにして眼の下を遮る。」と表現している。 ![]() 下って行くときはとても楽。 ![]() いやはやこれは大変だった。 ![]() 下から上を眺める。次回は車で行こう。。 「山の井」は正法寺の境内にある井戸であるが、 こんな急な山の中腹に、よく井戸が湧いたものである。 |
更級日記にも登場 作者は「山の井」まで上ってきて大変苦しかったので、手で水をすくって飲んでいると、「この水は飽きることがないほど美味しいですね」という人がいたので、 |
奥山の石間(いしま)の水をむすびあげてあかぬものとは今のみや知る | 菅原孝標女 |
この歌の意味は、「飽きないほど水が美味しいって、まさか今知ったのですか???」 〜古い歌にも詠まれてますよ〜 そしたら、水を飲んでいた人が、 |
山の井のしづくににごる水よりもこはなほあかぬ心地こそすれ | 水のむ人 |
「古い歌の方の、山の井の雫の濁った水より、こちらの方が飽きません」って返してきた。 う〜ん、「山の井」が登場するが、「山の井」は古い歌の方とされている。 何が何だか分からなくなってくる。 ちなみに古い歌はコレ |
むすぶ手のしづくににごる山の井のあかでも人に別れぬるかな | 紀貫之(古今和歌集) |
山の井のふた木のさくらさきにけり | 源俊頼 |
みきとかたらんこぬ人のため | 赤染衛門 |