すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


矢野の神山(兵庫県相生市)




「矢野の神山」って初めて知ったが、相生市の万葉故地という。
相生市のホームページに詳しい説明がなされている。
ただし、播磨の旅の第二日目の最終訪問地であったため、体もへとへとで、とりあえず惰性で行ったような訪問になった。
しかも、現地では車を方向転換させるスペースがなく、バックで細い道を戻ったり、夕方だったので蚊の大群に攻撃されたりして散々であった。




こんな場所であった。

【矢野の神山】 相生市矢野町森 磐座神社境内


相生市の中心街から車で20分ぐらい北へ進んでいく。
この岩肌が露出した山が権現山。麓に磐座神社が鎮座する。



磐座神社。村の鎮守社程度の規模であった。



蚊の大群の攻撃にあった場所。



なにか分からないが、由緒あり気なかんじの拝殿。



柿本人麻呂の歌が残っている。


妻ごもる矢野の神山露霜に にほひそめたり散らまく惜しも 柿本人麻呂(万葉集)

朝露ににほひそめたる秋山に 時雨な降りそあり渡るがね 柿本人麻呂(柿本朝臣人麻呂歌集)


磐座神社の境内に上記二首を併刻した歌碑


現地の案内板と相生市のホームページの解説を下記にまとめた。
「妻籠る矢野の神山露霜に匂ひそめたり散らまく惜しも」・・・夫婦がこもる家、家と同音の矢野の神山の黄葉は、露霜のために一段と美しく色づき始めた。やがてこの美しい黄葉も散って行くだろうが、誠に残念に思われるよ。
「朝露ににほひそめたる秋山に時雨な降りそあり渡るがね」・・・朝露に美しく色づき始めた秋山(神山)に、どうか時雨よ降ってくれないでほしい。時雨さえ降らなければ、いつ迄もこの侭であるだろうに。
 作者は柿本人麻呂と思われる。
 石見国と大和との往還の途次、たまたまこの磐座神社境内の黄葉を見聞して、感に耐えずこの歌を詠んだもの。
相生市教育委員会
相生市文学碑設立協会



柿本人麻呂が素晴らしいと讃えた黄葉(イチョウの木)が境内に残っているという。



イチョウの木の寿命がどれくらいかも分からないし、この木の樹齢が何年かも分からないのだが、多分、人麻呂が讃嘆したイチョウの木から何代か植え継がれたものであろう










晩はビジネスホテルで恒例の一人宴会でした。







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