すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
野洲川(滋賀県野洲市)
滋賀県野洲市を流れる野洲川。 壬申の乱の「安河の浜」の戦いがあったところ。 大海人皇子(天武天皇)軍が大友皇子軍を破った戦い。 壬寅に、男依等、安河の浜に戦ひて大きに破りつ。(日本書紀 巻28) 昔は河川敷の整備などされていないので、広大な川原が広がっていて、そこで戦いがあったのだろう。 今でもこんなかんじ ![]() ![]() ![]() 三上山が見える。 ![]() 近江富士の別称を持つ三上山。 野洲川に架かる「近江富士大橋」とのコラボ写真。 都にも近く、街道沿いなので、当然多くの歌に歌枕として詠まれている。、 |
よろづよを みかみの山の ひびくには 野洲の川水 すみぞあひにける | 清原元輔(拾遺和歌集) |
我妹子に またも近江の 安の川 安寐も寝ずに 恋ひわたるかも | 万葉集 | |
(私訳)好きな人にまた会えるという近江の野洲川ではないが、 あなたのことを思ったら熟睡できない。 |
我君の御代にあふみぢけふもはや渡る心ややす河の水 | 富士紀行 |
いかにしてすむやす川の水ならんよわたるばかりくるしきやある | 源光行 |
どうしてこの八洲川の水は、やすやすと澄んでいるのであろう、 世渡りの道ほど苦しいものはないのに |
いまだ月のひかりは、かすかに殘りたるあけぼのに、もり山をいでヽゆく、やす河わたるほど、さきだちてゆくたび人の駒のあしのおとばかりさやかにて、きりいとふかし、 |
旅人の道もろともに先立ちて駒打ち渡す野洲川の霧 | 阿仏尼(十六夜日記) |