すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


黄泉比良坂(よもつひらさか)(島根県松江市)






黄泉比良坂(よもつひらさか)伊賦夜坂(いふやざか)
「神代の時代、イザナキ命は先立たれた最愛の妻、イザナミ命にもう一度逢いたいと、黄泉の国へと旅立ちます。古事記では、この黄泉の国(あの世)と現世(この世)との境が「黄泉比良坂」であり、現在の東出雲町にある当地「伊賦夜坂」であるとされています。昼間でもひんやりとした涼気に包まれるこの神秘的なスポットは、「逢いたい人に、もう一度逢える場所」として、ひっそりと佇んでいます。」
(現地の案内板)









神話の関連として、すごいメジャーな史跡だと思うのだが、現地は閑散としていた。もしこれが大阪や神戸の近郊にあったなら、門前にお土産ショップが連なっていただろうと思ったりした。
やはり出雲は遠いのか、
それとも新型コロナウイルス感染拡大防止のため旅行自粛していた影響なのか。
(訪問は2020年の夏休み)

思うままに書いてます。







とにかく黄泉比良坂&伊賦夜坂を詠んだ歌の紹介


うば玉のよもつひら坂いかなれば いそぎて君がひとりこゆらん 平岡雅足(出雲国名所歌集)
平岡雅足は出雲大社上官

桃実のならんもまたで何にその よもつひら坂立ならしけん 内遠(出雲国名所歌集)


追しきて取かへすべき物ならば よもつひら坂道はなくとも 香川景樹(出雲国名所歌集)
香川景樹は江戸時代後期の著名な歌人

いふや坂こえし日数も桃の実の おちてかへらぬ君をしぞおもふ 千家之正(出雲国名所歌集)
千家之正は出雲大社上官


桃の実について、
イザナキノミコトが黄泉比良坂の麓に生えていた桃の実三つを取り、追いかけてきた黄泉の雷神を追い払ったという神話を意識している。



その際にイザナキノミコトは
汝、我を助けしが如く葦原中国に有らゆるうつくしき青人草の、苦しき瀬に落ちて、(うれ)へなやむときに助くべし(古事記)
(桃の実よ、私を助けたように、この世に生きるあらゆる人々が苦しみの流れに流されて悩みごとに呆然となるときに助けてやってくれ)
と告げ、桃に意冨加牟豆美命(おおかむずみのみこと)の名を与えた。








■現地訪問

分かりにくいが桃の木が植えられている。



史跡として整備されていた



鳥居があった



えーと、



この先が伊賦夜坂に続く



坂を下ったところの民家にあった絵
黄泉の国から追いかけられてる様子

















これはこれで大満足の訪問でした






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