すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
吉野川(奈良県吉野町)
吉野にはずいぶん前に訪問したが、なかなかホームページを作成できなかった。 住吉、和歌の浦、宇治、ここらと並び、吉野はビッグネーム過ぎて、そして書きたいことが多すぎて、作成に二の足を踏んでいた。 その間、B級の小ネタばかりを更新し、お茶を濁していた。 ところがここに至り、手持ちのホームページの作成ネタがなくなってき、いよいよ吉野のページ作成に取り組まなくてはならなくなってきた。 こうして少し前から写真や資料の整理をしてきたのだが、一般的に言われているように、吉野川と吉野山では歌題が全然違うし、場所的にもそれなりの距離がある。このため吉野の川と山を別々に作成することにした。 吉野へ向かう169号線。 印象的なのは吉野川を渡る近鉄吉野線の鉄橋。珍しい上路プラットトラス橋、全長242メートル。 ![]() 信号待ちの間に幸運にも特急が通過。 近鉄特急16000系。 なんと、ホームページ作成を躊躇している間に16000系特急車輌は引退してしまったようだ。(2013/11/24) ![]() まずは近鉄吉野駅に行ってみた。 ![]() 駅前に歌碑があった。 |
よき人の よしとよく見て よしと言ひし 吉野よく見よ よき人よく見 | 天武天皇(万葉集) |
りっぱな人がよいところとしてよく見て、「よし」といった、この吉野をよく見なさい。 |
吉野と言えば、この歌からスタートだろう。 天武天皇が子供たちを集めて諭した歌という。 このあと、また吉野川をさかのぼり、昔の吉野宮があった宮滝へ向かった。 ![]() 宮滝にある「吉野歴史資料館」前の案内図。 ![]() 吉野歴史資料館の敷地にあった歌碑。 |
かはず鳴く吉野の川の瀧の上の馬酔木の花そ末に置くなゆめ | 万葉集 |
かえるが鳴く、吉野川の滝の上にあった馬酔木の花なのだから、丁重に扱えよ。 |
水底に春や来るらむみよしのの吉野の川にかはづ鳴くなり | 宇多天皇(秋風集) |
さて、吉野歴史資料館から吉野川に向かって歩いて行くと、右手に小学校が見え、そこらは昔の吉野宮跡。 ここにある歌碑 |
やすみししわご大君の聞し食す 天の下に国はしも多にあれども 山川の清き河内と御心を吉野の 国の花散らふ秋津の野辺に宮柱 太敷きませば百磯城の大宮人は 舟並めて朝川渡り船競ひ夕川渡る この川の絶ゆることなくこの山の いや高知らす水激つ瀧の都は 見れど飽かぬかも |
柿本人麻呂(万葉集) |
(反歌) 見れど飽かぬ吉野の川の常滑の 絶ゆることなくまた還り見む |
吉野宮跡を過ぎると吉野川にかかる柴橋に着く。 柴橋から見る吉野川の激しい流れがは多くの万葉人たちによって歌として残されている。 (他のページ「夢のわだ」「たぎつ河内」「宮滝」の項目を参照してください) ここは写真を紹介 ![]() 柴橋から「夢のわだ」(下流方面)をのぞむ。 ![]() 上流から柴橋をのぞむ。 とりあえず、このホームページでは歌碑がある歌は極力紹介していこうと考えている。 木佐谷を登って行って、山道に入るところに歌碑があったので掲載する。 |
皆人の恋ふるみ芳野今日見れば うべも恋ひけり山川清み | 万葉集 |
みんなが行ってみたいという吉野を今日見ると、なるほどもっとも なことだ、山も川もこんなにきれいなのだから |