すさまじきもの ~歌枕探訪~


夢野(神戸市兵庫区)




「夢野の鹿」という諺(ことわざ)がある。
意味は「気にかかることや心配事が、予想していた通りになること」。
出典は「摂津風土記」で、内容は次の通り。
昔むかし、夢野(現在の神戸市兵庫区)に鹿の夫婦がいた。男鹿には別に淡路島の野島に妾(めかけ)の鹿がいた。
ある夜、男鹿は背中に雪が降り、すすきが生える夢を見た。
本妻の鹿は偽りの夢判断をして、射殺されて塩を塗られる前兆だといって男鹿が妾のもとに行くのを止めたが、男鹿は妾の鹿恋しさに出かけて行き、途中船人に見つけられて射殺されたというもの。
(参考:大辞林 第三版 (三省堂))


三角関係を半ば容認していた本妻の不安が的中してしまったようだ。


その後、西行法師が夢野にて次の歌を詠んでいる。


夜をのこす寝覚に聞くぞあはれなる夢野の鹿もかくや鳴くらん 西行


まあ、なんというか、本当に悲しい物語で、この教訓は、(1)浮気はダメ、(2)下手な夢占いをしたら本当に実現するのでダメ、というところか。



そんな伝説の地である「夢野」を訪ねるべく神戸市兵庫区の夢野町へ向かった。
着いてみると、夢野町は住宅密集地で、鹿の出そうなところではない。鹿がウロウロしていたら一発で車にはねられるだろう。


こんなところ







夢野にある熊野神社から撮影。



夢野の熊野神社は平清盛ゆかりの地ということで、観光名所になっている。社殿は熊野方向を向いて東向きに建てられている。



熊野神社の奥がすぐに山。
イノシシはおりそうだが、シカはどうなのだろう。

















夢野っていいかんじの地名だと思います






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