すさまじきもの 〜歌枕探訪〜


善光寺(長野県長野市)






信濃八景

姥捨山秋月
園原夜雨
善光寺晩鐘
千曲川帰帆
浅間山夕照
木曽路青嵐
諏訪湖落雁
戸隠山暮雪



「信濃八景」というのがある。
実に考え抜かれた選出だと思う。複数違和感があるが、そもそも古来和歌を詠まれた歌枕の地の数が絶対的に少ない信濃国の中での詠出なので、よく八景も集まったというのが感想。
違和感の一つは善光寺。古くから民衆の信仰を集めてきて知名度は抜群なのだが、善光寺を詠んだ歌は寡聞にしてほとんど聞いたことがない。
と言って、善光寺を外してどの寺を入れるかと考えると、岩屋堂のある龍洞山宝蔵寺(上田市)か、 布引観音のある釈尊寺(小諸市)ぐらいしか思い浮かばないが、どちらもマイナーな存在である。一国を代表するようなネームバリューはない。そもそも歌も詠まれていない。木曽の徳音寺も候補であるが、木曽路として一括りにされているので無理である。
となると善光寺以外に考えられなくなってくる。境内に立派な鐘楼があるし、長野オリンピックでも善光寺の梵鐘で開幕している。是非入相(いりあい)の鐘を聞いてみたい。
そもそも信濃国といえば善光寺なのである。


とほきよりあゆみをはこぶたび人の のりの御庭にいりあひのかね 信濃八景








コロナ禍の早朝(7:30)に参詣したので、あまり人出はなかった。













善光寺道名所図絵「善光寺」 (早稲田大学図書館)

 

 
四幅連続している





これは「善光寺宿駅の茶店」








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= 善光寺関連の歌・俳句 =



小林一茶は何度も善光寺を訪れ、善光寺に
ちなんだ句を50句以上も残している

春風や牛に引かれて善光寺 小林一茶

雀らもおや子連にて善光寺 小林一茶

名月や西へ向へば善光寺 小林一茶

そば時や月のしなのの善光寺 小林一茶

陽炎や手に下駄はいて善光寺 小林一茶




善光寺は体言止めの句が多い

千年の秋の山裾善光寺 高浜虚子



善光寺地震
死にたくば信濃へござれ善光寺 土葬水葬火葬までする 狂歌


1847年の善光寺地震では、地震で家の倒壊、火事の発生、そして山崩れにより河道が閉塞され堰止め湖が出現し、多くの集落が水没、その後に決壊し下流域が土石流の被害を受けた。















「戸隠山暮雪」も違和感があります。






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