すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
二見浦(三重県伊勢市)
二見浦は海岸浸食を防ぐために養浜に取組んでいた。![]() 現在ではこんな感じ。 また、以前に比べて海岸の松も大きく減少しているらしい。 昔は広大な松林があって、砂浜とともに「白砂青松」をなしていたという。 地元では再生計画委員会を設けて松林の復活に取組んでいる。 【二見浦の松がらみのエピソードがある】 鎌 倉 時 代 の 初 め、西行法師は伊勢の豆石山に庵を設けて 7 年ばかりを過ごした。 このときに西行が二見の松を詠んだ歌 |
波こすとふたみの松の見えつるは梢にかかる霞なりけり | 西行 |
二見の松が二つに見える。波が こすためかと思ったが、 実は梢 に霞がかかっていたせいである(二見町史) |
西行を訪ね鴨長明が和歌修行のため、伊勢の二見に向かった。ところが、長明が伊勢に着いたとき、すでに西行は東北に旅立っていた。鴨長明は、伊勢神宮に参拝し、二見の里にもかなり長い間過ごして 次のような歌を残している。 |
二見潟神さびたてる御塩殿幾千みちぬ松かげにして | 鴨長明 |
二見の浦に神々しくたっている御塩殿、どのくらいの年月、 この浦の松かげに鎮座しておられるのであろう (二見町史) |
ます鏡二見の浦にみがかれて神風きよき夏の夜の月 | 藤原定家 |
今ぞ知るふたみの浦のはまぐりを貝あはせとておほふなりける | 西行 |
月やどる波のかひにはよるぞなきあけて二見をみるここちして | 西行 |