すさまじきもの 〜歌枕★探訪〜 |
ささやき橋(福島県郡山市)
安積町日出山3丁目うどん店「神楽や」の前に歌碑
安積山 影さへ見ゆる 山の井の 浅き心を 吾れ思はなくに | 万葉集 |
あづま路や ささやきの橋 中たへて 文だに今は かよはざりけり | 源頼義 |
みちのくの 音無川に わたさばや ささやきの橋 しのびしのびに |
郡山市安積町日出山の、笹原川に架かる耳語橋のたもとに立派な歌碑が設置され、上記の三つの和歌が刻まれている。 石碑の裏側にささやき橋の謂れが書いてあったので転載する。
えーと、コメントとして、この天平年間の葛城王の陸奥下向のエピソードについては、いろいろな形がある。一般的に「安積采女」と云って、葛城王に見初められて春姫が采女として大和の都に行くという内容。 この場合、橋の上で別れを惜しんでささやきあったのは、春姫とその許婚となる。 歌碑裏面の解説では、葛城王と春姫が別れを惜しんだとされている。 まあ、いろんなパターンがあるようだ。 【ささやき橋】 【音無川】 ふつうの近郊型の橋と川であった。 さて、上の三つ目の歌「みちのくの 音無川に わたさばや、、、、」については能因法師の古歌 |
熊野なる おとなし川を 渡さばや ささやきのはし しのびしのびに | 能因法師 |
の「熊野なる」を「みちのく」に変えたもの。 つまり、みちのくにも熊野にも「音無川」と「ささやき橋」が存在する。 ※熊野の方は和歌山県田辺市本宮町本宮の166号線沿い、経緯度は 33°50'10.4"N 135°46'24.9"E |