すさまじきもの ~歌枕★探訪~ |
矢掛宿は、山陽道の18番目の宿場である 本陣と脇本陣が二つながらに重要文化財に指定されて現存する宿場は日本で矢掛宿のみらしい。街道に沿って江戸時代の風情が残る伝統的な建物が並ぶ 南北朝時代の武将で歌人であった今川了俊の、太宰府攻略のため山陽道を下る際の紀行文「道ゆきぶり」での矢掛宿の記載 |
もののふの |
今川了俊(道行きぶり) |
歌意は、まるで勇ましい武士のような地名なので屋影にはみんなが従ってくるだろう云々、と言った感じで、屋影の土地ぼめの歌。「屋影」に「矢」を掛けて「梓弓」の枕詞を導き、「矢」の威力にみんなが靡くとしている。冷泉歌学の伝統を受け継ぐ今川了俊の力量を感じる歌である |
春雨のふり出しぬれば日だかにもやかけのさとにやどり取ける | 頼梅 |
【現地訪問】![]() ![]() いやはや立派な宿場町であった。見事に街並みが保存されていた。東海道の宿場町でもこれほどの規模で残っているところは少ない。現在の観光地としても十分にやって行けそうである。知名度アップが望まれる ![]() これが本陣 ![]() 小田川に沿って1キロメートルぐらい続く ![]() 「旧山陽道 矢掛宿」の石碑 今川了俊の歌に触発されたのか、武士に因んだ店舗があった ![]() 「侍イタリアン」 侍が恋したハンバーグが名物らしい ![]() 「侍が恋するパン屋」 高級生食パンとメロンパンを売っている そのほかに「侍の隠れ家 Cafe」があるらしい 大嘗会の歌にも矢掛が歌われている。こちらは「宿」ではなく、小田川の川淵が詠まれている。 |
夏くれば屋影の渕の涼しきに行交ふ人は過ぎがてにする | 藤原経衡(大嘗会和歌集) |
「過ぎがてにする」とは、「素通りができそうにない」で、涼しいのでみんな立ち寄らずにはいられないということ![]() 矢掛町を流れる小田川 |